河内製作所 小さなことを、ていねいに、じっくりと、考えていく
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第102話『 ビタースイートメモリー 04 』

叩きつける雨のように降り注ぐノーツを捉え、オレの親指は練り動く。
会場中のやつらが熱狂的に拳を振り上げ、空気は最高潮へと登り詰める。
「さあ、ラスト1小節ぅ!」
MCが叫ぶのが口の動きで読み取れた。
最前列の審査員席に座る運営会社のヤツらまで、腕を振り上げている。
応援する姿を応援しているヤツらというのは、思えば滑稽なものだ。
「まだ、わからない! まだ! 勝つのはどっちだぁ!」
もうわかっているさ。
相手はさっき1回ミスった。
オレの勝ちだ──。

パークさんは紙片をいつもみたいにクルクル巻いていく。
「PARKのchibusaスペシャルつくりますんで。もう、ちっとお待ちを!」
クルクル巻いている紙片はいつもより細くて長いタバコ。
「まもる、ロング用に紙箱!」
「126×148ミリです!」
「そぉうだ!」
chibusaさんは黙ってタバコを巻く姿を眺めていた。
「その葉っぱはどこから調達してくるの?」
「これは、そこらの道端から摘んできやす」
「ボクも摘みます!」
「アナタたち2人で?」
「いや、パークシガレット組合っていう、オレの仲間たちもあちこちから摘んできます」
「パークさんはこの公園の地主なんだぞ! ってみんながいってました!」
「アナタ達みたいな小汚い人達が働き蟻みたいにせっせとタバコを摘んでこの公園に戻ってくるの!?」
「オレァ臨空第七都市しちりん生まれ、特別特区トックトック育ちで、道端のヤツはだいたい友達ですから、そこら中にいますわ」
「汗水垂らして摘みあげられた葉っぱたちが、道端みたいな香りのする家でタバコとして生まれ変わるのね!」
「へ? 道端の臭いなんてしやすか?」
「ええ。もう、プンップンくるわ! 野生の熊でも捕まえてきたんじゃないかと思うくらい」
「まあ、確かに毎日、必死に生きてますから、野生みたいなもんですわなぁ!」
「それよ! 人間の営みをダイレクトに感じさせてくる! まさにLIFFE! 生きるってことじゃないの」
「オレぁ、頭は悪いけど活きはいいすからね! chibusaさんにはかなわねえけど、ブハハハ」
パークさんがグラスのロッカを全部ひとくちで飲み干して、箱の両端をガムテープでとめた。
「まぁもるぅ!」
「はい!」
ペンを差しだすと、キュッキュッとマジックの気持ちイイ音が聞こえてきた。
「フォルテッシモロング葉80%ブレンドのPARK……PARK WILD chibusaシグネチャーモデルです!」
パークさんが持ちあげた箱には『chibusaさんへ』と書いてあった。
chibusaさんがひったくるようにPARKを取り上げ1本つまんで鼻に近づける。
「あぁ、もう! ココ! 鼻先のココでもう、臭いもの! ……待って! 残りの20%はなにがブレンドされてるの!」
「まあ、街の雑味とオレらの苦みってとこですかね」
「まさにトック オブ トックよ!」
おっぱいの谷間からライターを出してタバコに火を点けた。
パークさんはchibusaさんのおっぱいをじっと見つめていた。

リュックのズレを直しながら審査員の方へと視線を向ける。
むさ苦しいゲーム開発関係者に紛れる紅一点はこのゲームのキャラデザイナー。
DOS×KOIのキャラ達に負けない豊満な胸に目を奪われていると、中型のワンボックスエアカーが似合いそうな、金髪リーゼントの浮かれた司会者がマイクを手に取る。
「結果発表ぉぅ!」
会場が沸き立つ。
「……DOS×KOI! どっすんグランドエキスパートチャンピオンは………サァァァッックぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
頭上のライトがオレを照らすと同時に、対戦相手の“DECO−78”は茫然と膝をついた。
当然だ。
オレは右肩からずりおちるリュックを直しながら声援に応える。
「なぜこんなに強いのか! 不死鳥のように蘇った伝説の男は、再び頂点へ! DOS×KOIでも無敵だった! サックさん! あらためて、おめでとうございます!」
「あ、はい」
「チャンピオンになったお気持ちは!」
「あ、うれしいです……」
「クールなコメント! それにしても、トレードマークのそのリュックサック! 中には一体なにが!?」
「あ、ゴロゴロコミックとか……」
「なぜ大会中にもそんなものを!?」
「あ、落ち着くんで」
「マインド面までコントロールすることが強さの秘訣なんですね! まさに無敵の男、サックに賞金の授与を行います! サックさん! ……あれ……?」
賞金よりも先に、早く。
ステージの中央に向かった。
「サックさ……ん?」
「ミルクリ……早くミルクリを……持たない」
「え、っと賞金を渡してからに……」
「いいから、早く! 僕のサックはもう、熱くなってて! 早く、やらせて!」
「わ、わかりました。み、みなさん! サックさんは賞金よりも先にミルクリームエモーションへの再挑戦を希望されています! このまま優勝イベント、ミルクリームエモーション復活ライブを実施いたしまぁす!」
会場のディスプレイがすべてミルクリームエモーションに切り替わる。
「ご存じの通り、このイベントはDOS×KOIベータ版配信時にのみ配信され、厳格な個人認証により1人1生に1度のみが挑戦を許されるイベントです!」
クニタチがミルク瓶の前でほおづえをつく。
まだ、いける。
「全世界でだれ1人クリアできなかった超高難度イベントにサックが挑みます!」
オレは……もう1度、伝説になる!
ミルクリームエモーションの開始を歓喜するかのように乳白の太陽みてえなライトが降り注いできた──。

chibusaさんが、細巻きのPARKを口から離して煙をはいた。白い煙がもやもや広がる。
「うん! クサイ! どうやったらこんな臭いを表現できるの!」
「ありがとうございやす!」
「やるわね! アナタ!」
「そ、そんなに気に入っていただけるとは、光栄ですわぁ……ところで、chibusaさん……DOS×KOIの会場にいたことがあるって話ですが……その……1回だけ、でけえリュック背負った奴が優勝したこと覚えてますか?」
「まったく覚えてない!」
「お、覚えてないんですか!?」
「イベントなんて興味ないわ!」
「そうですか……」
パークさんがロッカをコップに注ぐ。
自分で注ぐなんて珍しい。
「覚えてないなら……良かった……」

DOS×KOI
メインストーリー 第3話 『裏庭ヘルプ』

「し、シゲルくん!」
中からは返事がない。
「クニタチ!」
振り返ると菅原教諭を先頭にクラスの連中が走ってくるのがみえた。
まずい。人が集まってくるのは。
「し、シゲルくんが中で」
「中でなにしているんだ!」
「い、いや、その……」
昼休みに年齢認証を解除した後、シゲルくんはいちもくさんにこの中へ駆け込んだ。
おそらく一心不乱に18禁コンテンツを堪能中だ……ということは……ダメだ女子もいるのに何をしているかなんていえるわけがない!
本当のことをいってもいわなくても、怒られることは避けられない!
でも、早く助けないと。過剰なimaGeの使用はまだ問題があると何かの雑誌に書いてあった。昼休みのあとずっとこの中にいるシゲルくんをこのまま放置したら危険だ。
「クニタチ! 何があったか先生は聞かん。でもオマエの真剣な気持ちは伝わってきた。中にいるシゲルにもその気持ちはきっと伝わるはずだ! もっと一生懸命に呼びかけてみろ」
「それよりも、この扉のマスターキーを貸してください!」
「あきらめるな! きっと、シゲルはオマエの気持ちを試したいんだ!」
彼は年齢認証を解除した僕に、ありがとうもいわず、この中に……。
「コレは、オマエとシゲルの問題だ」
「いや校内の大問題になるかもしれないです」
「先生、応援開始の許可を!」
小柄な女子が集まっていた生徒をかき分けて前にでてきた。
「ミナミちゃ……先輩」
同じ高校に入ったことは知ってたけど、まさかこんな場面で会うなんて。
「クニタチくん! 一生懸命呼びかけるのよ! アタシ達も応援する! 先生、許可を!」
「もちろんだ」
威厳に溢れた菅原教諭の声。
もっと慌てるべき場面じゃないのか?
「現時刻をもって、正式に“励援支愛れいえんしあい”を開始します! 四ノ宮くん! 放送室でみんなに呼びかけて! 小杉くんは校内中に触れ回って、みんなを誘導して!」
「だ、ダメですって!」
これ以上、注目を集めたら。シゲルくんに、体育館ファッカーの汚名を背負わせてしまう。
「よし! みんな! クニタチを応援だ!」
菅原教諭が拳を振り上げた。
「い、いや、それより、レスキュー隊とか呼んだ方が!」
「先生たちが心のレスキュー隊だ! シゲルに呼びかけろ!」
「シゲルくんの気持ちを引き戻すのよ! みんな! クニタチくんを応援して!」
ミナミ先輩も拳を振り上げた。

──このメインストーリーの3話で最初のミッション楽曲“ビター スイート メモリー”が流れる。1分42秒の曲中に“小結”レベルでノーツの数は584。まあ、いきなり中級クラスの曲をぶっこんでくるあたり運営も鬼畜だが、とにかくプレイすればシゲルは助け出される──
──拙者もシゲルくんは、体育館倉庫から助けだされましたっぁ! ということはバッドエンドではなかったということですねっぇ!──
──だから、倉庫から出てくるのはバットだろうが、ハッピーだろうが同じだ。バッドエンド、つまりコージみてぇにイベント楽曲のプレイがヘボい場合、倉庫から出てきた後シゲルは死ぬ!──
──え、えっぇ?──
──小僧ども、ここにいるコージは、番組が始まる前にDOS×KOIをインストールしたんだがな、見事に初回のイベントに失敗した──
──ま、待ちきれませんでしたっぁ!──
──オマエ、説明書読まねえでゲームはじめるタイプだろ? いいから、まずオメエのDOS×KOI続きを確認してみろ──
──………あっぁぁ! し、シゲルは死んだと書いてありまっぁす! な、なぜですかっぁ!──
──テクノブレイクだ──
──て、テクノブレイクっぅ!? そ、それは都市伝説でっぇす──
──大昔はな。だが完全没入ログインした状態でエロいことができるなら話は別だ! 脳内で異常興奮状態がつづいているときに下半身がホルモンを放出しまくったら人体への負担はとんでもねえことになる。だから現代ではテクノブレイクは実在する。エロ系のコンテンツ掲示板に出てくるだろ? “シゲりすぎ注意”とか“シゲるかと思った”“シゲる”“シゲった”って言葉がよ──
──みたことが、ありまっぁす!──
──エロいことにのめり込んでテクノブレイクしかけたときのスラング。語源はDOS×KOIからだ──
──そ、それではっぁ、モデルになった高校生はっぁ……──
──あ、リアルのシゲルは生きてるぞ。実際にテクノブロークンしかけたらしいけどな。まあ、これは当時、かなり問題になったらしい。imaGeの実証実験も中止になりかけたほどだ。だからimaGeにはオーバーダイブのアラートが必ずつくようになった。つまり、いま小僧どもが安心してエロコンテンツにアクセスできるのはシゲルのおかげなんだぞ──
──で、でもっぉ、拙者のDOS×KOIではシゲルくんが死んでしまっていまっぁす!──
──バッドになっちまうと、このあとDOS×KOIにシゲルが出てこなくなる。シゲルはストーリーの中でこのあと吹奏楽部に入ってある楽器を吹くようになるんだが、そのシゲルがいねえってことがどういうことがわかるか?──
──ある楽器ってなんですかっぁ!?──
──わかった。いまからCMを入れる。コージその間に次のストーリー進めて曲聴いてみやがれ──
──ナンプラのオールナイトDOS×KOI! 徹底攻略っぅ くぅ くぅ  くぅ  くぅ──

ジングルが流れCMに入った。
随分と好き勝手な話を始めたなあ、あの2人。テクノブレイクとか、全国の“シゲルさん”に謝って欲しい。そろそろ店へ行って止めないと、本当に放送事故が起きちゃうかもしれない。
すっかり冷めてしまったコーヒーをひと啜りして、カップをテーブルに置いて立ち上がる。
エアロディスプレイを引っ込めようとすると、画面の中で豊川が膝をついて座り込んでいるのがみえた。
なんだ?
豊川の頭上には仮想空間に呼び出されたエアロディスプレイ。そこに表示されているのは、掲示板ではなかった。
体育館のような風景の中で怯える少年。その周りを取り囲む男女数人の生徒たち。
今まさにラジオであの2人が喋っていたDOS×KOIの応援ミッション画面だった。
こんな時だというのに、懐かしさを感じてしまった。当時チーちゃんが手がけたはじめてのお仕事だと聞かされ何回かプレイした覚えたがある。
いつのまにか豊川はゲーム本編をプレイしはじめていたようだ。
豊川が床を両手の拳で叩きはじめた。
まさに、ゲームに負けてヒステリックにゲーム機に八つ当たりする子供のような背中。
早くしないと……。
さっきのコーヒーか、それとも焦りか、胃の中で何かがざわざわと騒ぎ出していた。

「だりー」
ノゾミさんがタバコに火をつけると同時にもたれかかった壁を滑り降りるように床へ向かって墜ちていく。
渋井さんにドリンクを届けLounge310に戻り、渋井さんが来ていたことを告げるとノゾミさんはもう1杯ドリンクをつくってVIPルームに行くように命令してきた。
2回目のドリンクを届け再び戻ってくると、ノゾミさんはカウンターの内側でまだタバコを吸っていた。
床につききそうでつかない、絶妙な高さに腰を浮かせしゃがみこんでいる。
膝と膝の間には見えそうでみえない絶妙なスカートの隙間があった。
完璧かつ隙の無いだらけ方。
なんて堂に入った脱力だ。
「なに?」
「い、いや」
半開きの口で煙を吐き出しながらノゾミさんが見上げてきた。
「ハルノキも吸えば」
「あ、ありがとうございます! ……あ、あのタバコ1本いただけないでしょうか」
ノゾミさんが軽く舌打ちをしつつタバコの箱を投げてきた。吸っていたのはPARKのようだ。
「そ、そういえば、このPARKってタバコを造ってる人が、ショルダーパッドの美人バーテンダーによろしくっていってたんすけど……ノゾミさんの他にバーテンダーさん、いないっすよね……」
「……あっ?」
「パークさん、店間違えてたのかなぁ」
「オマエ、時々致命的に空気読めねえよな」
「え?」
「どう考えてもそれ、アタシのことだろ!」
「……すか?」
たしかに改めて見てみると、なかなか整った顔立ちをしているのに気がついた。
普段の立ち振る舞いが美貌を曇らせているのではないだろうか。
「てめえドサクサに紛れてスカート覗くな! このゴミカスが!」
「してないっす」
「オメエみてえなDTカウパー小僧なんて、アタシが本気だしたら、即、前屈みだぞコラ!」
ノゾミさんがくわえ煙草のまま立ち上がる。
「ねぇ、ハルノキくぅん」
突然、体をしならせカウンターにほおづえをついた。しかし、甘えた調子の声と正反対な、ねめつけるような視線。
「そ、そんなに睨まないでください」
「睨んでじゃねえよ、上目遣いだよ!」
「あ、す、すみません。は、迫力のある上目遣いだったもので……」
「さっさとタバコ吸ってどっかに消えろ!」
ノゾミさんは盛大に鼻息を吹き出し、壁にもたれまたタバコをふかしだした。
「は、はいぃ」
思わずまもるさんのような声を出してしまった。焦りでPARKを取り出すのに指がもたつく。
「アンタ、タバコいつから吸ってんの?」
「き、昨日っす」
「ぷはっゲホォ、だっせ!」
「な、なんでですか!」
「昨日、今日タバコ吸ったようなヤツが調子にのってんじゃねえよ!」
「ウソつくのあんまり好きじゃなくて」
「ろくにウソもつけねえような男に魅力なんてねえからな!」
「す、すみません……」
ブリタニカルをバッグから取り出す。
「ちょ、ちょっと待って何それ?」
「いや、自分のライターっす……」

ゴッシャンッ

今日もイイ音を鳴らしてくれる。
「ちょ、はぁ? それ持ち歩いてんの?」
目を丸くするノゾミさんを眺めながら煙を吸い込む。冷え切った体に流れ込む熱いスープのような幸福感が脳内に広がる。
心に緩やかな安らぎが行き渡り、この空間に絡め取られるように感じた緊張の糸も弛緩していく気がした。
「ブリタニカルっす。自分の相棒っす!」
「あ、あ、そう。ところでさ、渋井さんなにかいってた?」
ノゾミさんの目元が急に不安に怯える子犬のようになった。
「ドリンクを渡したときとか、その、コースターの裏側に気づいてハッとした顔してたりとか」
「特になにもありませんでしたけど」
「……そ、そう。アンタちゃんと渋井さんに渡せっていったドリンク渡したんでしょうね?」
「はい」
「そ、そう。ふーん」
「どうしたんすか? もしかして、コースターの裏にimaGeIDでも書いて連絡を待っていたとか? そんな古典的なことしませんよね?」
ノゾミさんの動きが止まった。
「は…はっ!? し、しねーし! んなこと!」
「図星っすか! え? ノゾミさん、渋井さんのこと好きなんですか!」
「大声だすな! オマエ、タバコ吸ってるってだけでイイ気になってねえか?」
ノゾミさんが、カウンターの中かからつかみかかろうと飛び出してきた。
「ごめん、取り込み中だったかな」
襟を掴まれたときに、ラウンジの入口の方から声がした。ノゾミさんは“ひゅぁっ”と小さな声をだし手を離す。
「仲がいいんだねキミたち」
渋井さんが目を細めカウンターの方へ近づいてくる。手にはコースターが握られていた。

──ネタバレが恐いやつは今すぐラジオを消せ! ナンプラのオールナイトDOS×KOI! 徹底攻略 っぅ っぅ っぅ っぅ──
──どうだコージ、わかったか?──
──よくわからないですが、音がすっかすかでっぇす──
──そうだろ? シゲルの偉大さがわかったかコノヤロウ──
──拙者はっぁ、このままこのすっかすかな状態でリズムゲームをプレイしなければいけないのですかっぁ!──
──いや、復活は可能だ。運営側もやばいと思ったんだろうな。ミルクリの“絶対復活なし”でユーザーがっくり減ったからな。シゲルを蘇らせるイベントがある。その辺はゲームだからな──
──教えてくださっぁい!──
──そいつは、また次回だ。しばらくすっかすかの低音でプレイしてろ──
──いじわるしないでくださっぁい!──
──少しぐらいネタバレ抑えておかねえとリスナーの小僧どもも飽きちまうだろ?──
──お、教えてくだ──
ビィーンビィーンビィーン
──お、おい何だこの音!──
──せ、拙者も解らないでっぇす──
ビィーンビィーンビィーン
ビィーンビィーンビィーン
ビィーンビィーンビィーン
──確実に、警報の類いだろ。オーバーダイブのアラートみてえな──
──あっっぁっっぁ!──
──なんだ? お、おい! なんだ! コ、コイツ人形じゃねえのか!? おいつ、冷てえ! み、水、出てきてんじゃねんかよ! お、おいおいおい、マイクが濡れ、お、おい、お──

次回 2019年10月11日掲載予定
『 マイティーベース 01 』へつづく

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