河内製作所 小さなことを、ていねいに、じっくりと、考えていく
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第113話『 ミルクのゆくえ 07 』

ノゾミさんは、パークさんの娘……!?
断片的な情報が波状攻撃でもって、意識を揺動してくる。

シュコココココココココココココココ
ホバーカーの始動音。

ヌ゛ォン!
激しい浮遊音、車体が浮かぶ。
「な、なにしてんすか!?」
カーステレオを殴り続けていたノゾミさんが赤く染まった右手でハンドルを握りしめていた。
「カチコミだ」
「か、カチコミ?」
「あいつら全員ぶん殴る!」
「ま、待ってください! 3人の居場所わからないし」
駐車スーペスから後進しだしたクルマ、運転席の窓に手を掛ける。
「放せ! 引きずってやんぞ!」
目が本気だ。
直感的に、このまま窓にしがみつく自分の行く末が迫る。時速100㎞を超すスピードで走るクルマの風圧に耐えられるか。もし手を放してしまったら……“引きずってやんぞ”の言葉の恐ろしさに負け、手を放す。
クルマはそれを見届けたように走り出し、サーキットのスタート直後のように迷いなく一直線にサービスエリアの出口へ向かって進んでいく。
「う、うそだろ……」
どう考えてもその向きは、逆走……。だがすでに車体のテールランプすら影も形もない。
え、これ、どうすんの?
駐車場内にはひっきりなしにクルマが入ってくるが、ノゾミさんの戻る気配は、ない。
…………ここ、どこだ……。
「ね、ね…え、misa…」
唇が乾く。
『ハロー! ハルキ!』
主の窮地に対し、アシスタントプログラムは早朝のアラーム音のように爽快な音声こえで応える。
「げ、元気だね……」
『うじうじしてるハルキをなじるよりよっぽど健康的だもの!』
新手のいやがらせか。
しかし、いま頼れるのはやはり、misa様。
「じ、自分、その、どうやら置き去りにされているようでして……、現在地を知りたいなぁなんておもっているんですが」
『ちょっと待って! いま調べるからっ!』
「あ、あの、いつものようなクールな口調でお話していただくことはできないでしょうか……」
『ここ、海峡の近くみたいよ!』
「か、海峡!?」
『やだ、ハルキ忘れちゃった? いちばんぼしで通過したあの海峡よ!』
そういえば、風にほのかな潮の香りが混じっている。海が近いのか……切り立つ岩肌の断崖絶壁を想像し、絶望感はさらに募っていく。
『このサービスエリアは、塩アイスが有名らしいわ! 遠方からわざわざ食べに来る人もいるんだって!』
「は、はぁ……」
『せっかくだから食べてみたら! ……どうせ迎えなんてこないんだから』
「なっ!」
覗き込んだ崖に突き落とすようなことを。
「な、なわけにいくか! 街に戻るの!」
『徒歩だと2日かな。途中は山道も続くし危ないんじゃない?』
「た、タクシーとか……」
『タクシー? お金は?』
視野内のimaGeマネーの残高は……あ、アイスを食べるのが精一杯……。
「ぎゃ、逆に、チクリンのいる更生施設まで歩くにはどのくらいかかるのでしょうか………」
『1週間くらいじゃない?』
「いっ!! いっしゅうかん……」
『あ! いけない! 途中、海峡を泳ぐだろうから、8日は必要ね!』
「泳ぐ、んすか」
『だってフェリーにのるお金もないでしょ?』
行くも帰るも、ほぼ無一文で踏破するのは至難の行程か。一体、どうすれば。
「ま、街に帰るには……」
『じゃあ、前借りしとく?』
「ま、前借り?」
『ショルダーパッド就業規則のデータ読んでおいたけど、お給料の日払い制度あるらしいわ! 働いた分、先に貰えるみたいだから今のハルキにはピッタリじゃない!』
ぷ、プロの金貸しだ。ネガティブな部分をまるっと覆い隠すようなポジティブさで、最期の決断を鈍らせないためのやり口だ。
ダメだ口車に乗ってはいけない。
さすがに、ノゾミさんも高速道路のサービスエリアに取り残された人間を見捨ててしまうなんてことは……………おおいにありえる。
なにより気になるのは、あのテンションで疾りだしたノゾミさんのこと。無事街まで辿りつけるのか。いや、街に辿りつけても、3人が放送してる場所はまだ特定されていないから、案外すぐに諦めて戻って……いや、探し出してしまうことはおおいにある。
だめだ、どの方面でも危険だ。なんとかして自分も街に戻って止めなければ。でも、給料の前借りは………、ゼッタイにろくなコトがない。
しかし………。
「あ、あの、2日、いや、1日分だけ前借りの申請を、お、お願い、できますか……」
『わかったわ! 申請するね!』
視野内に一瞬だけ“申請フォーム”が表れ、ふわっと消えた。最終の意識確認もそこそこに手続きが完了したようだ。
このアシスタントプログラム、どこか金融関連のシステムからマージンでもせしめてるんじゃないだろうか。
『支給は24時ちょうど! それまではここで待つしか無いわね。ざまぁ!』
隠し持っていたナイフでぶすりといかれたような衝撃を残し、音声が途絶え入れ替わりに起動していたラジオアプリの音声が戻ってくる。
身内に散々裏切られた後のすさんだ心の中へ、ナンプラの声はコソ泥のように忍び込んできた。

──おい! コージ! そりゃ放送コードひっかかるつーの!──
──で、でもっぉ! 優勝した直後にドーピングがバレるのは間抜けでっぇす!──
──レジェンドはレジェンドなんだけどな…。さて、ひとしきり笑ったところで──

怒れるノゾミさんとのやり取りでラジオの内容は意識して聴いてなかったが、“ひとしきり笑った”ということは、あの後も散々パークさんをこけにして笑っていたのかもしれない。そのやりとりをノゾミさんは車内で聴いているのだろうか。
持ち主にさんざんっぱら殴られていたカーステレオが気の毒に思えたが、ラジオは壊れていたほうがいいのかもしれない。こんな番組を聴きながら運転したら本当に危ない。

──次のVOICE!──
──お願いしまっぁす!──
──おっ! あっしの番でげすか?──
──小僧、名を名乗れ──
──名乗るほどのもんじゃございやせん!──

どこかで聞いたことのある声だ。
知り合いのような気がするが思い出せない。

──四股ネームでもいいぜ──
──なんでやんすか? それ──
──DOS×KOIネームだ──
──あっし、相撲は得意じゃねえんでさぁ──
──小僧、DOS×KOIプレイしたことねえのか?──
──へい! ございやせん!──
──じゃあなんのVOICEだ? これは──
──いやぁ、シールが光だしましてね──
──シール?──
──とにかくラジオ聴けって、音声が流れて来やしたんで、暇で仕方ねえんで聴いてみるかと。そしたら社長も出てるし、相談コーナーやってたもんで。へい、その相談を──
──キミ、うちの社員?──

豊川のとぼけた声が挟まる。
完全に身内のサクラで保ってるような番組じゃないかこれ。もしかして、豊川グループと自分やショルダーパッド関係者以外、リスナーなんて存在しないのではないだろうか。

──いやぁ、シールにこんな機能ついてるなんてさすがでやんすね! 社長! 恐れ入りやした──
──シールってどのシール? ほらウチ、大手のステッカーメーカーたくさん持ってるから──
──へい…いっちまっていいのか?──

相談者が小声で誰かと話はじめた。後ろから漏れる小声もどこかで聞いたことがある。

──おい、隣に誰かいるのか?──
──いやなんでもございやせん! あの、質問いっちゃっていいでやんすか?──
──マイペースな小僧だな。質問はなんだ──
──へい! スターダストメイツのシールってのは、炭酸で洗えばキレェーにはがれるって噂は本当でやんすかね? あっし、いろいろ試してみたんでやんすが、ぜんぜん剥がれねえんでやんす。で、いま、炭酸系のジュースがいっぺえあるとこまで来てみたもんですから、はい。銘柄の指定なんてのがあるのか知りたくて──
──スターダストメイツ……おい、そいつぁ、DOS×KOIに関係ねえ話だよな?──
──へい! 関係ありやせん──
──小僧、番組の主旨わかってるか?
──いやぁ、ちょっとよくわかりやせん──
──おい。そんな質問、放送中にしちゃ──
──ダメに決まってるでしょうが!──

戸惑うナンプラに対し、豊川の声には鮮烈な怒りが滲む。

──なにシールはがそうとしてるの!──
──豊川先生、そこじゃねえと思うんですが──
──炭酸で洗えばOKって、高校生の都市伝説じゃないんだよ! ていうか、シールは剥がしちゃだめぇ! キミ! スターダストメイツ会員番号を名乗りたまえ!──
──し、失礼しやす! …………江田くん、これどうやって切んだ!?──
──な、名前呼ばないでください!──
──キミ! 待ちたまえ──
──……………──
──切れちまいましたね──

マイクが鼻息でも拾っているのか、音声に暴風の中から中継しているような風の音が混じる。

──僕さ、全社員に必ずラジオ聞きなさいって通達してきたんだけどさ、この番組ウチの社員以外のリスナーいないよね──
──先生、そ、そんなこと本番中にハッキリいわねえでください──
──素人とかいいながらプロの女優さんが演じてるビデオみたいなもんだよね──
──先生、それはっぁ、演出の問題でっぇす!──
──演出されてない恥じらいとか戸惑いに意味があるじゃない。素人物ってさぁ──
──コージ、話を逸らすんじゃねえ。先生、きっとあれです。豊川グループの関係者が一斉にVOICEしてるから一般のDOS×KOIキッズ達のVOICEがつながらねえんじゃないかと思います。そうだな。そうだよな? そうだよな! 小僧ども! そうだよな!?──
──本物のDOS×KOIキッズからのVOICEを見分けないとだめ、だよねこれ──
──よし、わかった。次の相談から、本当のキッズ達しかわからないようなクイズを出す──
──クイズですかっぁ!──
──いいか! 小僧ども! このナンプラのクイズに答えられねえヤツはいますぐVOICEを切れ! 次に冷やかしVOICEしてきたヤツはimaGe情報を晒すぅ!──
──き、厳しいでっぇす!──
──本気のDOS×KOIキッズ。そろそろ話をしてみようじゃねえか──
──で、でもっぉ、問題が簡単だったら意味がありませっぇん!──
──コージ、オマエでも答えられねえような問題だ……問題だすぞ! ……DOS×KOIのキャラデザインを担当したchibusaさんの本名を答えよ。簡単だと思うだろ? 小僧。だが難問だ。chibusaさんが本名で活動してたのはDOS×KOIリリース前の短期間だけ。今のアーティスト名に変えてからは、どこにも公開されてねえ! サイバーパトロールがしっかり当時の情報消してるからな。つまりそれを知っているのは当時からプレイしてた真のDOS×KOIキッズだぜ!──
──chibusaさんの本名、僕にも教えてくれるかな──
──豊川先生、それが問題なので後ほど…… さあ、答えがわかった小僧は@nan-pura--までいますぐVOICEだ!──

ラジオが無音になった。

──さあ! DOS×KOIキッズ! 身内のVOICEは消え去った! いでよ!──

ナンプラの声がナチュラルに反響するくらい、静かだ。

──おい! 遠慮すんな! 俺にビビってんのか? 上がってこいよリングによ! 俺は逃げも隠れもしねえぞ!──
──ナンプラさっぁん! VOICEが鳴りませっぇん!──
──か、回線がパンクしてんだろ。おい、そうだろ? なあ、コージ!──
──ん、あ、あっぁ、あっぁ! な、鳴りましたっぁ! VOICEが来ましたっぁ!──
──ホラみろ! 来ただろ! ヨ、ヨシ! つなげ!──
──もしもし──

こ、この声は!
さっきと同じように聞いたことのある声だが、
この声は間違いなく誰の物かスグにわかる。

──ラッキーな小僧よ、名を名乗れ──
──お久しぶりです。棚田です─

やっぱり、棚田さんだ。

──聞こえてますでしょうか? 棚田です──
──た、た、た、た、棚田さん?──
──はい。ショルダーパッド、棚田です──
──こ、コージ! 切れ! いますぐVOICE切れ!──
──まってください──
──切れ!──
──まっ─

なんという卑劣な輩どもだ。都合の悪い相談をぶった切るなんてまともなパーソナリティのすることじゃないだろう。ラジオの向こうのナンプラは悪びれる様子もなく進行を続けていく。

──今のは、ナシ! 他の小僧ども! すぐ、@nan-pura--までVOICE!──
──もうつながっていまっぁす!──
──よし! つなげ!──
──もすもすぅ──
──今度は違う小僧だな。よし! 名を名乗れ!──
──いま、本人にかわっがんな──
──ん?──
──棚田です──
──こ、コージ!──
──は、はっぁい!──
──こ、今度こそ次の小僧に行くぞ!──
──つなぎまっぁす!──
──棚田です──
──た、た、棚田さん! いや、ちょっとそれは反則だぜ! っすよ──
──クイズの答えがわかったので連絡したんですが、受付て貰えませんか?──
──いいんじゃないかな。彼もDOS×KOIキッズなのかもしれないし──
──せ、先生、だって、棚田さんは──
──スポンサーの豊川さんがいいとおっしゃるなら、クイズに答える権利はありますよね?──
──ちょ、ちょっとここで一旦CM!──
──ではその後に解答をしますが、でもその前にひとつ提案があります。このクイズ、僕が答えられたら予定どおりショルダーパッドでダンス大会を開くことにさせてもらえるようにして欲しいです──
──な、なにいってんだ! …すか! そんなのは横暴だろ! …っすよ──
──横暴はお互い様ではないでしょうか。ショルダーパッドの伝統ある大会を守るため、支配人として人道的な対応を求めたいと思います──
──大人な対応、だね──
──と、とにかく一旦CMだ! っす──
──スポンサーのみなさんは大切な方々ですからね。でも、このVOICEを切ったりはしないでください。いちおうまだ僕は雇用主ですから──
──ネタバレが恐えヤツは今すぐラジオを消せ! ナンプラのオールナイトDOS×KOI 徹底攻略リターンズぅ ズぅ  ズぅ  ズぅ──

毅然とし棚田さんの声をぶった切るようにジングルが流てくる。
ラジオからは“シュコッ”という聞き覚えのある発泡音につづき“スカッとサワーやから”のキャッチコピー。デリカーのCMだ。そんなCMが存在しているのか。次のCMにも“豊川”のキーワード。……もしかすると豊川グループのすべてのCMを流して時間を稼ごうとしているじゃないだろうか。あの3人ならやりかねない。
“豊川”、“豊”、のキーワードが延々と流れてくる。こんなものを聴いていたら頭がおかしくなりそうだ。
ラジオへの集中力が途切れ、座っていたベンチがすっかりぬるくなっているのに気がつく。
時計を確認すると時刻は22:38──もう少しで前借りの時間だ。
よし、せっかくだからアイスでも食べてみるか。ラジオのボリュームを下げ、ニュース関連のサイトをたちあげつつ、売店の方へ向かう。
幸いなことにこの近辺で大きな事故は起きていないようだ。
良かった。
なにもないということは、ノゾミさんは特区へ向かって走っているということだろう。
それなら、後は……。
売店のドアを開ける。アイスは食券を買って席で待つ方式のようだ。なけなしのimaGeマネーで食券を買うと視野内に食券番号と待ち人数が表示された。
ぼんやり数字を眺めながら、今度はVOICEを呼び出す。さすがにしつこいのかもしれないが、chibusaさんにもう1度だけ連絡をいれてみよう。考えてみれば、チクリンの施設だってこの時間は面会などは行われていないだろう。
面会を終えていればVOICEに応答してくれるかもしれない。
半分あきらめと半分祈るような気分でVOICE呼びだしボタンをタップする。
無機質な呼び出し音が7回鳴ったとき、アイスの待ち人数がぱたぱたと減り、自分の順番も回ってきた。

おっ! 今回は長いこと鳴らすなぁ~!
うん。でも今日はもう、ほら、飲んじゃってるし、明日のほうがいいよね? いま取り込み中だしさ。
うん。今日はほら、いろいろ寄り道中だから。
ちゃんと先が見えてからのほうが。
やだ、アタシ、汗かいてる。
おでこに手を当てると湿気。まいったな。
メイク崩れちゃうな。
んっと、なに焦ってるの? アタシ。
まだ、VOICE鳴ってるけど。
わかったわよ! 
でるわよ!
ちゃんと説明してまた明日にすればいいのよ。
よし! 出るわ。
「はいっ!」
思ったより声が大きかったかな。
「ち、chibusaさん!?」
ほら、この子も驚いてる。
ここは、年上の余裕をみせないとかな。
「ハローお元気ぃ? ゴメンね今日」
「な、なんでここにいるんですか?」
え……え?
なにいってるのこの子、自分か連絡してきたく、せ、に……。
顔を上げ……え?
カウンターから店員さんの声がした。
「お待たせしましたー」

「お待たせしましたー」
カウンターから店員さんの声がした。
が、耳を素通りしていく。
正面に、chibusaさんが立っている。
大きな瞳をこれでもかというほど広げて。
「ち、chibusaさん」
声が掠れた。
chibusaさんは暗がりで不審者に遭遇したかのような、素早さで踵を返し走り出した。

次回 2020年03月20日掲載予定
『 ミルクのゆくえ 08 』へつづく






「まずいですって、蒔田さん」
「おっ?」
「なんであそこで僕の名前呼ぶんですか!」
「だってよ、VOICEの切り方がわかんねえんだもん仕方ねえだろ」
蒔田さんは平然と鼻に小指をめり込ませながらこちらも見ないで答える。
「いやぁーこんだけ自販機あるから、もしかすっと当たりの炭酸があるんじゃねえかとおもったんだけどなぁ」
蒔田さんがキョロキョロ自販機の商品を眺める。“物色”という言葉がピッタリだ。
「あの人に僕らがシール剥がそうとしてるのバレたらぜったいにまずいですよ!」
「大丈夫だって、バレやしねえから」
ラジオの放送中に怒りを露わにしたスポンサー社長。芸能人だったら今ごろ震えているころだ。
この人は失う物なんてなにもないのか。
……ないな確かに。
「ところで江田くん! あの自販機、気にならないか!」
蒔田さんが指さした方向に、なんともけばけばしい色の光を放つ自販機が1台立っている。
「あのいかがわしい風貌。もしかすると、伝説のお宝が眠る自販機かもしれないよな」
「な、なんですかお宝って」
「男なら誰もが憧れる、アダルティな本を販売する自動販売機じゃねえかと俺は睨んでいる」
「…もう帰りましょうよ。明日はセイジさんの卒検ですし」
「わざわざ抜け出してきたんだ、戦利品を持って帰ろうじゃないか!」
蒔田さんは小走りで怪しい自販機に向かって走り出していた。
「江田くんも来い! 小銭が必要だ!」
自販機に辿りついた蒔田さんを虹色の光が迎える。まるでハエを誘い込むを食虫植物ラフレシアの花びらのように鮮やかな光が、背中を丸めて自販機の前にたつ蒔田さんを包み込むように照らしていた。





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